FC2カウンター なすかの世界 LEVEL0  炎の守護顕獣-----守護の一族
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LEVEL0  炎の守護顕獣-----守護の一族
     0-2 灯

 暑い太陽が照りつけるその下で、4人の旅人が西へと向かっていた。ユーラ、シャイア、ベイル、ナーヴァの4人である。
 先日の、ユーラの身に起こった不可思議な事件の現場からすでに2日経つ。
その間、ユーラには特に異変はなかった。
「明日、明後日には街につくでしょう」
 ベイルは少し、暗い顔でそう皆に告げた。
 この2日間、食事と夜営以外に休憩らしい休憩を取っていない一行である。
疲れているのも当然だ。だが、彼の表情の暗さは疲労からくるものではなさそうだ。それに気づいたシャイアが、
「何か問題でもあるのかい?」
 彼女の発言に、気づいていなかったユーラとナーヴァが、ベイルに注目する。なるほど、何か浮かない顔をしている。
「いえ、ね‥‥。村の長老から聞いた話を思い出したのですが‥‥‥」
「どんな話だい?」
「魔物の狩り場の話です」
「魔物の狩り場?そんなの聞いたことねぇな」
 ベイルはちらりと皆の顔を見て、そして立ち止まった。
「休憩ついでに、少し話しましょうか」
 ユーラたちはそれに頷き、手ごろな岩陰に腰を下ろした。そうして、ベイルの話を静かに待つ。
「ある平原のことだそうです。なんでもそこは、ドラゴン‥‥とまでは言わなくても、その眷族に当たる魔物が多数棲息しているそうです」
「ドラゴンの眷族?それって‥‥‥」
「ええ、とても危険です。特に翼のあるモノが多いそうです」
「それだと、あたしは役に立たないね」
 シャイアが悔しげにつぶやく。剣士にとって、切ることの出来ない死霊などの魔物だったら、剣に聖水をかければ問題ないわけだが、空を飛ぶ魔物は剣の届かない範囲から攻撃してくる。これほど厄介なものはない。
「‥‥‥もしかして、この先にその平原があるの?」
 遠慮がちなユーラの発言に、ベイルは少し驚いた表情を見せる。
「ユーラは察しがいいですね。そういえば以前からそうでしたか」
 そう言ってユーラに満面の笑みを贈ったベイルは、瞬間、真剣な表情に変えてそのとおりだと皆に頷いた。
「ホ、ホントかよ?」
「ええ、長老が話してくれた、村からの距離や方角を考えると、間違いないでしょう」
「それなら、迂回するのが一番‥‥‥」
 そこまで言って、シャイアは難しい顔をする。
「ええ、あまり時間を無駄にするわけにはいきません」
 シャイアの後をとったベイルと、難しい顔をしたままのシャイアは、そこでちらりとユーラを見た。二人に突然見つめられたユーラはきょとんと見つめ返す。
「‥‥‥今まで、何の変化もなかったけど、この先もないとは‥‥‥」
「そうです、この先もないとは言いきれません」
「そうか!そうだよな!」
 シャイアとベイルの思慮深さに感心するナーヴァ。ユーラは、どう反応していいか分からないでいる。
「‥‥というわけで、行きましょうか」
 先ほどまでの重い雰囲気を払うように、軽く微笑みながらベイルが立ち上がった。続いてシャイアやナーヴァが立ち上がったのを見て、ユーラも慌てて腰を上げる。
 それから、休憩なしで数時間歩くと、ずっと続いていた岩地から景色は次第に平原へと変わっていった。
 最後の岩をいよいよ通り抜けるというところで、一行は示し合わせたかのように同時に立ち止まった。
「‥‥‥一見したところ‥‥何もいなさそうだな」
 彼らは岩陰から平原の様子を探ってみたが、ただの鳥すら見当たらない。
「‥‥‥念のため、探ってくれますか?ナーヴァ」
「へ?‥‥‥ああ、あれでね。わかった、ちょっと待ってくれ」
 そう言うとナーヴァは、目を閉じて大きく深呼吸した。そして、
「この瞳に集まれ、魔力よ・・・・・・」
 傍目には分からないが、勘の良い者なら魔力が彼に集まっているのに気づいただろう。彼の仲間のうち、ベイルは実は魔術師としての才能がある。そのため魔力を感じるのは造作もない。
 シャイアは戦士としての勘を育てたために、魔力を感じることは出来ない。
 そしてユーラは、ごく平凡な少女だ。が、この時、彼女は初めて魔力をその身で感じ取っていた。その事実に、ユーラは少なからぬ動揺を覚えた。
「遠くまで‥‥‥もっと遠くまで‥‥‥」
 ナーヴァは今、瞳に魔力を持たせて遠くまで見渡せるようになるという魔術を行っているのだ。
 平原を西に突き抜ければ森に行き当たる。北には高い山がそびえ、魔物たちの住処は主にその山だ。ナーヴァはいったん魔力の瞳を森まで伸ばし、そして山へと向けた。
 魔力の瞳は、山のいたる所に魔物の巣を見出した。そして、その巣の中には翼を休めながら平原に獲物がやってくるのを待つ、異形の姿があった。その異形のものは気配を感じたのか、魔力の瞳に向かって威嚇の咆哮を上げた。
「うわあ!」
 ナーヴァは突然のことに仰天し、術のための集中を解いてしまった。
「さて、どうしたものか‥‥‥」
 少年魔術師の反応から、魔物の存在を確信したベイルは難しい顔をする。
「こっそり進む‥‥なんてことは出来ないだろうね」
 遠い森と近い山を交互に見比べながら、シャイアがため息をつく。ユーラは仲間たちを見つめていることしか出来ない。
「でかい魔術をやるには長い集中がいるし‥‥ほとんど集中のいらない術じゃ威力はねぇしなぁ‥‥‥」
 魔術を行うために集中している間、魔術師は全くの無防備になる。そのため一般的に魔術師は護衛を幾人か連れているのである。
 ナーヴァの仲間は三人。うち、ユーラは戦闘員として数えられない。薬草師のベイルは、武器を扱えないこともないが、剣士のシャイアほどの戦闘力は望めない。そのシャイアとて、今回ばかりは他人を守る余力はなさそうだ。
 あえて危険を犯さず迂回すると、今度はユーラに時間的な危険が増す。彼女の身に何が起こったのか分からない以上、一刻でも早く魔術院で調べてもらわねばならないのだ。
「ナーヴァ、姿消しの術は使えますか?」
「ん?‥‥使えなくはないけど、集中したまま歩くとなるとオレ一人で精一杯だ。四人まとめてだと‥‥‥」
 ナーヴァはそこで平原を見つめ、自分の精神力と森までの距離を測った。
「‥‥半分も行けないな」
「半分‥‥近くは行けるということですか?」
「ああ、けど、そこまで行ったらへたばって後は何も出来ないぜ」
 それではどうぞ食べてくださいと言っているようなものだ。考えたベイルは荷袋の中から一枚の布を取り出した。それは草色をしたかなり大きなものだった。
「こうしましょう」
 布を大きく広げたベイルは、三人にその下へ入るように言った。そして、
「この布ごと姿消しの術をかけて行きます。途中‥‥そうですね、三ヶ所くらいで術を解いて休憩をしましょう。術がかかっていない間は、この布がごまかしてくれると思うんです」
「それは‥‥‥通用するかな‥‥?」
「通用しなかったときは闘うしかありませんね」
 危険だがそれ以外に方法を思い浮かべない一行は、シャイアを先頭に、ナーヴァを間に挟んで、三角形の形になるようにユーラとベイルが後ろに並ぶ。ナーヴァ以外、それぞれ布の端をしっかり握って、彼らはとうとう『魔物の狩場』に足を踏み入れた。

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なるほど~w
続きを楽しみにしてます^^
かっぱ | URL | 2006/09/14/Thu 18:19 [EDIT]
ここまでは、前に書いてたからねぇ・・・・。
これからはちょっと、更新が遅いかもw
なすか | URL | 2006/09/18/Mon 15:53 [EDIT]

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