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虹を架ける者--------第22話


 大陸のほぼ中央に、メガラロックという巨大な一枚岩がある。
 東西に横たわるその全長はおよそ3000km。標高は約5kmという、『神々の寝台』と呼ばれるに相応しい、超絶的な巨大さの岩だ。
 そのメガラロックの中央よりやや西寄り、南側のふもとで、崩落した小城が上げる土ぼこりの中に、十数人の人影が認められた。
 小城が崩れる直前に脱出してきた者たちだ。彼らは、もうもうと舞い上がる土煙の中、先刻まで存在していた城の跡を呆然と見上げていた。もっとも、約半数は怪我のためか気を失っており、地面に転がされている。天を仰いではいるが、当然見てはいない。
「何でいきなり崩れるんですか・・・?」
 おもむろに口を開いたのは、アイセントの大鎌騎兵隊員のリューナ。彼女は、崩落した城跡から、隊長であるシンディに視線を移した。その瞳を見たシンディは、
「あたしは何もやってないよ!」
 とても心外だ!といわんばかりに叫んだ。どうやら、リューナの瞳は、『隊長が何かやらかしたんでしょう?』と物語っていたようだ。
 今回はまったくの濡れ衣だったが、普段の行いからそういう疑いが掛けられたらしい。
「じゃぁ、何で崩れたんです?」
 なおも疑いの目を向けるリューナ。これに対してシンディは、自信なげに応えた。
「魔女がいなくなったから・・・?」
「え?いなくなったんですか?」
 初めて聞かされたことに、首を傾げるリューナ。
「あぁ、そうらしい。詳しい話は・・・・・・」
 リューナと向き合っていたシンディは、そこでルーティを顧みた。
「今からこのお嬢ちゃんに説明してもらう」
 リューナは改めて一同を見渡した。ルーティとアーリィは見知っているが、およそ30台の眼鏡を掛けた男性と、互いによく似た顔立ちをしている少年たちは初対面だ。
 これは、じっくりと、落ち着いた場で話を聞く必要がある――――。そう判断したリューナは、大蟷螂に積み込んでいる荷を解き始めた。
「テントをたてましょう、隊長」
「ふむ・・・そうだね」
 ここは岩ばかりの荒野。今は凪いでいるが、いつまた風が吹き始めるかわからない。だからといって、この大所帯で街まで移動するのもひと苦労だ。
 リューナの案に乗ったシンディは、自分の大蟷螂に積んであるテントを取り出し、手早くたて始めた。さすがにこの人数では、テントを二つたてても窮屈になるだろう。
「『封龍』どもはリューナのテントにまとめて突っ込んでおこう。あとはあたしの方のテントに入ってちょうだい」
 さすがに、アイセントの王女であり、騎兵隊の隊長の持ちテントは、一隊員のリューナのテントよりは広く、大きかった。しかし、7人も入ればやはり窮屈だ。
「さて・・・と・・・。まずは簡単に説明しておくよ」
 『封龍』以外の全員がテントに入り、腰を落ち着けたのを見計らって、シンディはまずリューナに、ごく簡単な説明をした。
 眼鏡の男性――ナムレスはルーティたちと同郷の者であり、少年たちは北の隣国、デイザーの双子の王子、クレスとケンス。彼らは魔女の手に落ち、城の中にあった『鮮血の泉』とやらに入れられいたらしいということ。
「で、魔女が消えた訳と、あんたたちが何者なのかを・・・ルーティ、話してくれるね?」
 シンディに、いつになく真摯な眼差しで見つめられたルーティは、傍に控えるアーリィとナムレスに目配せし、意を決したように話し始めた。
「私たちは、このアイセント国の西隣、イリス国の者です。私の名はルーシディティ。イリスの第一王女であり、巫女の位にある者です。アーリィは私の従者。ナムレスは、イリスにおいて、宰相の地位にある者です」
 一気にそこまで言うと、ルーティは居住まいを正し、
「正体を隠して貴国を旅していたこと、お詫び申し上げます」
 と、シンディやリューナに頭を下げた。
「イリスの巫女姫・・・・・・聞いたことがあるよ」
 ふむ、と頷くシンディ。
「イリスの宰相閣下は、切れ者で名が通ってますね」
 リューナは遠慮がちにナムレスを見る。ナムレスは軽く視線を合わせると、静かに会釈した。
「で?その巫女姫がなんだって正体隠してまでこの国に来たんだい?」
「それは・・・・・・」
 ルーティはそこで、ずっと握り締めていた結晶を取り出し、
「この我が国の秘宝、『虹の結晶』の力を取り戻すためです」
 そう言って、色がすっかり失われてしまった結晶を、テントの床に静かに置いた。

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ふむふむ・・・こういう場面を書くのは苦手だから、参考にさせてもらおうw
次の展開が楽しみ楽しみ^^
かっぱ | URL | 2008/12/15/Mon 00:02 [EDIT]
>かぱさん
うまい話運びになるよう、けっこう時間かかったよぉ;;
あと、一枚岩の大きさをどのくらいにするか決めるために、実際のエアーズロックを調べてみたり・・・・・w
かなり大きさ違うけどね(*´ー`)
なすか | URL | 2008/12/15/Mon 16:05 [EDIT]
メガラロックとか地形的な設定って大好きなのだw
冒険感が出てきたぁ~w楽しみだわぁ~w
割り箸 | URL | 2008/12/15/Mon 16:23 [EDIT]
>割り箸さん
私も、地図とか好き勝手に書くの大好きよ~w
むか~し勤めてた会社のパソコンで、「ビジュアルスタジオ」ってソフトだったかな?それで小説用の大陸図を作って遊んでたものだよw
なすか | URL | 2008/12/18/Thu 21:42 [EDIT]

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