FC2カウンター なすかの世界 LEVEL0  炎の守護顕獣-----守護の一族
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LEVEL0  炎の守護顕獣-----守護の一族
     0-0 火

 ――――ほんとにあんたは役に立たないんだから!
 同じ村で育った幼なじみたちと冒険の旅に出たユーラに、彼女より二つ年上のシャイアはそう、冷たく言い放った。
 ――――あたしたちが狩りをしてくるから、せめて火でも起こして待ってなさい!
 シャイアはユーラにそれだけを言い渡すと、他の二人を連れて夕食の獲物を捕りに行ってしまった。
「はぁ‥‥‥」
 ユーラは朱に染まりゆく空を見上げてため息を吐いた。『役立たず』、確かにそうだと自分自身認めている。が、他人に言われると心にずっしりとくる。
 村を出たのは三日前。ユーラも合わせて四人で旅立った。
 シャイアは女だてらに村一番の腕を持つ剣士で、しかもちょっときつ目だが美人だ。短く紅い髪は彼女によくあっており、茶色の瞳は時折優しく光る。性格は剛胆だが、はっきりしているので皆から好かれていた。
 一行の最年長で、ユーラより三つ年上のベイルは、小さな村では貴重な薬草師だ。彼の作る薬は本当によく効く。しかも冷静で頭もよく、切れ長の黒い瞳はとても知的だ。腰まで届く黒髪は、多くの女性が羨むほど美しい。性格も穏やかで、年頃の娘たちは皆彼に憧れた。
 もう一人、ユーラと同い年で母親同士が姉妹という従兄弟のナーヴァは、代々魔術師の家系に生まれ、本人も幼少時に天才的な魔術の才能を開花させた。
小柄で、下手をするとユーラよりも背が低いが、陽気な性格と不可思議な銀の髪と瞳で人気者だ。
 そんな彼らに対してユーラは、容姿は平凡、秀でた才能はなく、性格は引込み思案。あえて長所を挙げるなら、瞳の色が珍しい金色というところだろうか。
髪の色も瞳と同じだが、特別奇麗ということはない。
「火くらい起こせないと‥‥ね」
 いくらわたしでも、皆が戻ってくるまで火を焚いて待つくらいは出来る。そう思いながら薪になりそうな枯れ木を集め、火打ち石を使って火を起こした。
 ゆらゆら揺れながら、次第に大きくなっていく炎を見つめて、ユーラはもう一度ため息を吐いた。
「わたし‥‥ついて来なかった方が良かったかな」
 仲間の三人はそれぞれ家柄で、修行の旅に出なければならない決まりがあるのだが、平凡な家に生まれたユーラには旅に出る必要はなかった。だが、シャイアたちがいなくなった後の村での暮らしが余りにもつまらなさそうなので、無理を言って出てきたのだ。
「何でも良いから‥‥能力が欲しいな」
 ユーラが何度目かのため息を吐いた時、彼女の目前で焚き火が大きく跳ね上がった。
「わっ!」
 驚きのあまり無様に尻餅をついたユーラの前で、炎はどんどん大きくなり、ユーラよりも、そして長身のベイルよりも大きくなっていった。そうして、炎の形が何かに変わりつつある。
「な、なに‥‥?」
 炎の形が人に似ていると彼女が気づいた時、それは確かに炎を纏った人、大柄な男性のそれとなっていた。そして、瞳のない真っ赤な目がゆっくりと開かれ、ユーラを見据える。
「や‥‥だ、誰か‥‥!」
 恐怖するユーラに向けて、人型の炎は緩慢な動作で手を差し伸べる。手の先の炎がユーラの鼻先をかすめる寸前、許容しがたい恐怖に彼女は意識を手放した。
 炎は、倒れたユーラにそっと近づき、そして彼女の額を炎で撫でた。

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