FC2カウンター なすかの世界 虹を架ける者--------第18話
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
虹を架ける者--------第18話


 黒い壁に囲まれた広間を、少女の静かな嘆きが震わせる――――。
 紅い絨毯に膝をつくその少女の背後には、同じ年頃の赤髪の少女が控えている。彼女――――アーリィは、主人であるルーティが自らの意思で立ち上がるまで、黙って待ち続けていた。
 この館の主である魔女が姿を消して、どれほどの時が経ったであろうか?彼女たちの背後から、カツン、と小さな音が響いた。
 はっと振り向いたアーリィの瞳は、広間の真ん中に位置するアーチから、よろめくような足取りで出てくる者の姿を捉えた。
 そのアーチの奥には、魔女がアーリィに入るように言った、禍々しい泉があった部屋だ。確かに、幾人かの気配は感じ取っていたが――――。
 その者は長身で細身――――どうやら魔女ではない、恐らくは男性だ。距離があるため細部まではわからないが、身なりはそこそこ整っている。顔は、左手で覆い隠されていてよく見えない。
「何者!?」
 アーリィは素早くルーティを背後に庇うと、厳しく誰何した。
「・・・ん?」
 男はよろめく足を止めると、声のした方へ向き直った。他に人がいるとは思っていなかった――――そんな反応だった。
 魔女の手下か――――?アーリィが警戒心を強める中、自分たちの姿を認めた男が、遠目にも驚いているのがわかった。
「こ・・・これは・・・・・・!」
 男はアーリィたちとの距離を、ふらつく足取りで半分ほど詰めると、片膝をついて礼の姿勢をとった。
「これは・・・我らが巫女姫様よ・・・・・・」
 男はそこで始めて、覆い隠していた左手を顔から外した。あらわになったその容姿は、彼女たちの見知ったものだった。
「あなたは・・・!」
「まぁ・・・・・・ナムレス?宰相のナムレスではありませんか」
 それまで、結晶を握り締めて嘆いていたルーティだが、『巫女姫』と呼ばれて意識を現実に引き戻した。そして、自分をそう呼んだ者の姿を認めて、驚きの声を上げる。
「なぜあなたがここに?私たちが留守の間、すべてを任せてきたのに・・・・・・」
 魔女の瘴気によって荒らされた国を救うため、その術を求めて旅立ったルーティたちから、国の内情を他国に知られないためにも、すべてを宰相であるその男――――ナムレスに託してきたというのに、なぜここにいるのか?
 ルーティの声にはほんの少し、非難の響きが混じっていた。
「は!申し訳ございません!」
 ナムレスは、深く、深く、頭を垂れた。
「突然、私の部屋に黒衣の女が現れまして・・・・・・それ以降は、気がついたらここに・・・」
 そこでふと気付いたのか、ナムレスは辺りを見渡し、
「そういえば、ここはどこですか?」
 と、呑気な問いを口にした。これには、ルーティもアーリィも苦笑いするしかなかった。
「事情はよくわかりました。ナムレス、その黒衣の女こそ、我が国が荒れた原因であり、ここがその拠点だったのです」
「は?」
 『姫』の突然の告白に、理解が追いつかない、といった表情をしたナムレスだったが、さすがは宰相の地位にある者なだけあって、それはほんの一瞬だった。
「そうでしたか・・・あの女が・・・・・・」
 ナムレスは眉間に皺を寄せて思案した。丸い眼鏡の奥でひっそりと輝く瞳は、もはや何も映してはいない。彼が思考におぼれている時の癖だった。
「私をさらってここに拉致していたとなると、その女の目的は、我が国のさらなる混乱ですかな?」
 きらり、とナムレスの眼鏡が光る。
「そうですね、きっとそうでしょう・・・・・・でも」
 ルーティは一呼吸置くと、握り締めていた結晶を胸の前に抱え上げた。
「彼女・・・・・・魔女の最終目的は、この結晶にあったようです」
「結晶!?虹の結晶ですか!?」
 『虹の結晶』――――彼女たちの国を長く守護していた、七色に光る石。今はその光は、失われている。
「結晶を手にして・・・・・・いったい何を?」
 魔女は何のために、結晶を求めているのか?それは――――、
「わかりません・・・・・・」
 そう――――わからない。この『虹の結晶』は邪気や瘴気を払うもの。その瘴気の塊ともいえる魔女が手にしていったい何になるのか?
 三人が新たな謎に思考を巡らせようとしたその時、ルーティが魔女に追われて走った廊下に続くアーチから、何者かの靴音が高らかに響いてきた。それは、かなりの速さで近づいてくる。
「ルーティさま、こちらへ!」
 アーリィが再び主人を背後に庇おうと動いた時と、その靴音の主が現れるのとが同時だった。
「お嬢ちゃん!無事かい!?」
 抜き身の剣を手に持ったまま現れたのは、大鎌騎兵隊隊長のシンディであった。
「おお!無事だった!・・・・・・あれ?もう一人のお嬢ちゃんもいるじゃない?」
 ルーティの無事を確認してほっとしたのも束の間、アーリィや見知らぬ男の姿も目にして、シンディは足を止めた。
「・・・なんだい、その男?まさか、あの魔女とやら、実は男だったのかい!?」
 いきなり現れて、そして、とんでもない誤解を口にするシンディであった――――。


スポンサーサイト

Comment

管理人にのみ表示する

おお~w更新ペースが早い~^^

展開もいいね~^^文章も参考になるよb

ついにナメが登場かwませたお子様も早く出てこないかなw楽しみ楽しみ^^
かっぱ | URL | 2008/11/13/Thu 01:07 [EDIT]
>かぱさん
「ナムレス」→「nameless」って、やっぱわかるかw
そのまんまじゃ名前にしにくいのは、こうして加工を施してまぁすb
でも、ナメくん自体は、「リューナ」ですでに登場してるけどねw
ませたお子様は、この次には出てこれる・・・・・かな?w
なすか | URL | 2008/11/13/Thu 14:34 [EDIT]

Track Back
TB*URL

Copyright © なすかの世界. all rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。