FC2カウンター なすかの世界 虹を架ける者--------第16話
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虹を架ける者--------第16話


 見つめていると吸い込まれるような感覚に捉われる、そんな黒大理石が敷き詰められた多少カーブしている廊下を、ルーティはひた走った。
 それを追うのは、楽しげな笑みを浮かべ、軽やかな足取りで歩いている魔女、ナスティカ。
 二人の距離は、縮まることはなかったが、広がることもなかった。
(なんとか・・・なんとかしなければ・・・・・・)
 ルーティは懸命に足を動かしながら、思考もめまぐるしく回転させていた。
 こんなところで死ぬわけにはいかない――――その思いのみが、少女を突き動かす。
「どこまで行く気だぁい?」
 到底逃げられやしないと、ほくそ笑む魔女。その様子を見ているものがもしいたならば、美しい――――と素直に感嘆したことだろう。もっとも、可愛らしい少女を笑いながら追いかけているという、異様な状況でさえなければ――――。
 永遠に続くかと思われた長い廊下も、いよいよ終わりが見えてきた。
 廊下と部屋の仕切りとして、黒石でできたアーチ状の石組みがある。その向こう側に見えているのは、黒絹のカーテンで飾られた、同じ黒石でできた壁――――。
(行き止まり!?)
 ぎょっとしたルーティだが、背後から魔女が迫り来る。止まる訳にも行かず、その部屋に飛び込んだ。
 途端、視界に飛び込んできたのは右前方、部屋の中央に位置する豪奢な造りの玉座。天井には煌くシャンデリア。床の深紅の絨毯は、ルーティの踝までもすっぽりと覆い隠すほど深い。
 入ってきたのと同じ壁には、他にも二つ、どこかへと繋がる空洞とアーチ状の石組みが見えた。
 そして、その手前のアーチの前に佇んでいたのは――――。
「ア・・・・・・アーリィ!?」
「・・・・・・ルーティさま・・・」
 二人の少女が、お互いに驚愕の瞳で見詰め合う。そこへ、冷や水を浴びせるかのように魔女が言葉を紡ぐ。
「ここがお前の終着地かい?」
 はっと振り返ったルーティの目前に、魔女は艶然と立ちはだかっていた。
 カタカタと音がする――――。その音の発生源を辿ってみると、自身の口元に行き着いたルーティは、震えて音を立てる歯をぐっと噛み締めた。そして――――、
「私は・・・私は死ねない・・・!泉を見つけて戻るのを皆が待ってるから!!」
 そう言い放つと、魔女に向けて短剣を構えた。それを見て、魔女は高らかに笑った。
「ほーほほほほほほほ!」
 愉快なジョークを聞いたとばかりに、魔女はしばらく笑い続けた。そして、ようやく発作のような笑いをおさめると、目に溜まった涙を左手の親指で拭い取る。
「ぁ~可笑しい・・・」
「何が可笑しいのです!?」
 かっとなって叫ぶルーティ。そのルーティを目を細めて見つめながら、魔女はゆっくりと右腕を上げていった。
「可笑しいじゃないか・・・そんな玩具のような剣で、このあたしに刃向かおうなんて!!」
 ぶん!と唸る様な音を立てながら、鉤爪の生えた魔女の右腕が、ルーティめがけて振り下ろされる!
 ガキーン!!
 鈍い金属音とともに、ルーティの持っていた短剣が宙を飛んだ!
 剣を弾き飛ばされた勢いで、少女は柔らかい床に倒れ込んだ!
「次で終わりだよ・・・」
 ことさら優しい声音で告げる魔女。そうして再び右腕が頭上に上がった時、二人の間に割って入る者がいた!
「させない!」
 ルーティさまは殺させない!口より雄弁に語る瞳で、魔女を睨みつける赤毛の少女。
「アーリィ!?」
 またしても邪魔者が現れたことで、魔女は機嫌を最高に損ねた。
「だったら二人仲良く死にな!!」
 湾曲していた鉤爪が剣のように真っ直ぐになり、ルーティとアーリィ、二人の少女を刺し貫くべく迫りくる、その一瞬――――
(また・・・また私のせいでアーリィが傷つく・・・!)
「そんなのは・・・・・・だめぇぇぇぇええ!!」
 ルーティの絶叫が響き渡ったその時、彼女の胸元から七色に光る物体が飛び出した!


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