FC2カウンター なすかの世界 虹を架ける者--------第13話
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虹を架ける者--------第13話

 巨大な岩山をくりぬいて造られた小さな城の中は薄暗く、どこか冷たい雰囲気を醸し出している。
 二階まで吹き抜けになっているロビーには、三人の人影があり、みな頭上を見上げていた。彼女たちの視線の先には、二階廊下の手すりに腰掛ける妖艶な美女。
「なぜあなたがここに・・・・・・」
 ルーティは声を震わせた。恐怖ゆえではなく、怒りゆえに――――。
 対する魔女は、少女の言葉に首を傾げる。
「おや?従者を追ってきたんじゃないのかい?」
 従者――――それの意味するとろこは、
「アーリィ・・・?アーリィはここにいるのですか!?」
 ルーティにとっては、大事な友でもある従者アーリィ。彼女は、自らが受けた毒を解くために、単身魔女の館を訪ねていった。そのアーリィがここにいるということは――――。
「ではここは・・・・・・あなたの館?」
「おやおや、知らずにやってきたのかい?幻術を破ってまで」
 くっくっと、魔女は低く笑った。出会った時から妙な気配を持った少女だと感じ取っていたが、よもや魔女の幻術を破る能力があるとは思っていなかった。
 ――――やはり、生かしておくのは危険か――――魔女がそんな物騒な思考を巡らせていた時、なんとも場違いな、呑気な声が上がった。
「あんた誰?」
 こめかみの辺りをぼりぼりと掻きながらのシンディの声に、ルーティは我に返ったように振り向く。そのとき、シンディの目と視線が合った。
「知り合いなのかい?」
 今度はルーティに質問を投げかけるシンディ。
「あ、えっと・・・知り合いと言うか・・・・・・」
 ルーティは視線をさまよわせる。なんと言えばいいのやら――――。しばらく逡巡とした結果、
「今朝方遭遇しました・・・ま、魔女です・・・・・・」
 そう表現するしかなかった。途端、予想通り、シンディとリューナは眉をひそめた。”なんだそれ?””そんなものがいるのか?”といった表情だ。
「ふ・・・ん?王立騎士団の輩だね」
 魔女はそう呟くと、さっと二階からロビーへ軽やかに降り立った。そして――――、
「そっちは、アイセント先代王の庶出の姫、シンディだね」
 庶出の姫――――つまるところ、一国の王女であるということだ。それをゆっくり理解したルーティは、素っ頓狂な声を上げた。
「ええぇぇぇえ!?」
 シンディは舌打ちする。
「余計なこと言うんじゃないよ」
「噂どおり、とんだはねっ返りのようだね」
 シンディを値踏みするように、上から下から眺め回す魔女。
「しかし、現王フェイロンはあんたに甘いらしいね」
 ゆっくりとした足取りで、シンディに近寄る魔女。そうして、にやりと口の端を吊り上げ、
「いい手駒になりそうだ・・・・・・あんたも手に入れておこう」
 言うや否や、魔女は黒い鉤爪を伸ばし、シンディに襲い掛かった!
「シンディさん!」
「隊長!」
 ルーティとリューナが駆け出すが、魔女の動きの方が早い!だが――――、
「ガキッ!!」
 という音を立てて、魔女の鉤爪はシンディの腕に巻かれた銀の篭手で受け止められた。
「ふんっ!やるじゃないか!」
 魔女はざっと五メートル後方に飛び退いた。そこへ、数瞬前まで魔女がいた床に、抜剣したリューナのレイピアが突き刺さる。
「あんたもいい腕だ・・・・・・二人とも欲しいねぇ」
 口元を妖しく歪めながら、今度はリューナも値踏みする魔女。
「そんなことはさせません!」
 二人と魔女の間に立ちはだかったのは、茶色い髪と、不思議な光沢をたたえた茶色の瞳の少女。
「あんたはいらない・・・・・・あたしの邪魔になるから」
 魔女は黒々とした瞳に剣呑な光を宿し、ルーティを見据え、自らの首を掻き切る真似をした。それの意味するところは――――「死」!

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