FC2カウンター なすかの世界 虹を架ける者--------第12話
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虹を架ける者--------第12話
 天井に煌くシャンデリア。広間中の壁にかけられた黒絹のカーテン。床には毛足の長い極上の深紅の絨毯。
 小ぶりながら大国の玉座の間にも引けを取らぬほど、見事に洗練された広間に対峙するのは、長い黒髪を弄ぶこれまた極上の美女と、青い顔色にもかかわらず、まなじりきつく美女を睨みつけている赤い髪の美少女。
「よくきたねぇ」
 真っ赤な唇をくっと吊り上げ、美女――――魔女ナスティカは満足そうに頷く。
「で?毒の抜き方は?」
 左腕に巻いた白いバンダナ――――今では毒のせいか黒くなっている――――を押さえながら、少女――――アーリィがますます魔女を睨みつける。
「せっかちだねぇ」
 魔女は、玉座を思わせる豪奢な椅子に腰掛け、傍の台座に置かれている水晶玉をひと撫でする。すると、今まで遮られていた右手にある漆黒のカーテンが開き、この広間と間続きの部屋が露になった。
「その部屋の泉に身を浸しな。そうすりゃ毒は消える」
 その部屋は全体的に霧がかっていてよく見えないが、確かに泉のようなものが見て取れる。
 アーリィは慎重に魔女と泉を交互に見比べた。果たして本当にこの泉で――――?
「疑ってるのかぃ?あたしは嘘はつかないよ?」
 ふふん、と鼻で笑う魔女。アーリィは唇を噛み締める。疑ったところで、自分にはどうすることも出来ないことを痛感したのだ。
 アーリィは意を決して泉の部屋に一歩足を踏み入れた。途端、血生臭さにうっと口元を覆う。
 暗くてよくわからなかったが、泉の色は深紅で、部屋を取り巻く霧は、泉から沸き出ている湯気であった。さらに、泉の中には二~三人の人影があった。
「こ・・・これは・・・・・・」
「泉というよりは温泉かねぇ・・・・・・鮮血のね」
 絶句しているアーリィに追い討ちをかけるように、魔女は高らかに笑った。
 アーリィの頭の中で、警鐘が鳴り響く。この泉は危険――――入ってはならないと。
「さぁどうしたんだい?その泉じゃないと毒は消せないよ?」
 魔女は挑発するように嘲笑う。
 毒を解かねば主人の元には戻れない――――しかし、この泉は毒を解く以外にも何かありそうだ――――アーリィが逡巡としていると、ふいに魔女がいぶかしむ声を上げた。
「ん?・・・・・・幻術が破られた・・・・・・」
 その声に振り返ると、魔女は手をかざした水晶玉に見入っていた。
「侵入者だね・・・・・・おやおやこれは・・・」
 眉間に皺を寄せていた魔女の表情が、みるみる笑顔に変わっていった。獲物を見つけたといわんばかりの、危険な笑みだ。
「どうやらここまで追って来たようだよ、あんたのご主人様」
「えっ!?」
 魔女の楽しそうな様子とは対象に、アーリィの顔色がますます青くなった。
「あんたのご主人様はあたしがもてなしておくから、あんたは早々に毒を抜くんだね」
 艶然と微笑むと、魔女は衣を翻し、瞬時にして広間から姿を消した。
「そんなまさか・・・・・・ルーティさま・・・・・・」

「こんな所にこんな城があるとはね・・・・・・」
 ルーティにより幻術が破られ、露になった城のロビーに足を踏み入れながら、シンディは感嘆の声を上げる。
「いったいどなたの居城なのでしょうね?」
 辺りに気を配りながら、リューナが後に従う。
「まさかこれが『封龍』のアジトなんでしょうか?」
「さてねぇ・・・・・・盗賊団ごときにこんな手の込んだアジトが用意できるとは思えないけどねぇ」
 そんな会話を交わしながら、シンディはずかずかと、リューナは慎重に、最後尾をルーティがロビーを進む。三人がちょうどロビーの中央に来た時だった。
「ようこそ・・・・・・我が城へ」
 頭上から降ってきた声に、三人は一斉に天井を仰ぐ。
 ロビーの天井は吹き抜けになっており、左右から伸びる階段から続く廊下の手すりに、大胆な漆黒の長衣をまとった妖艶な美女が腰掛けていた。
「あ!あなたは!」
 ルーティは驚きの声を上げた。
「また会ったねぇ・・・・・・お嬢ちゃん」
 妖しく微笑む魔女とルーティの間に、視線の火花が散った。

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短期間の間に2話もUPしてたのかい!w
いや~、この調子でUPし続けてくれ~w気になる!
かっぱ | URL | 2007/11/20/Tue 00:36 [EDIT]
>かっぱさん
ウケケケケケケケケw
なすか | URL | 2007/11/21/Wed 22:23 [EDIT]

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