FC2カウンター なすかの世界 虹を架ける者--------第7話
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虹を架ける者--------第7話
 薄暗い、裏町の一角。そこにこじんまりと建つ粗末な小屋の前で、左腕を負傷し、膝をつく少女が一人。
 その少女に寄り添い、小屋の前で悠然(ユウゼン)と構えている女を睨みつけているのも、また少女。
「なぜ・・・こんなことを・・・!」
 怒りのあまり、固い声を紡いだルーティに、女――――魔女は艶然(エンゼン)と微笑む。
「なぜって、あたしにとってお前が邪魔になるとわかったからさ」
 魔女はそういうと、ルーティの顔を見据える。主人の危険を察知して、アーリィが二人の視線の間に割り込んだ。
「ルーティさま、お逃げください!」
 昨日、賊に襲われたときと同様に、アーリィはルーティを逃がそうとした。しかし今回ばかりは、ルーティは逃げ出さなかった。負傷したアーリィを、置いていくことなどできなかったのだ。
「かまわないよ、逃げたければ二人でお逃げ」
 余裕の笑みを崩さず、魔女は二人に手を振る。真意が測れず、二人は動くに動けない。
「別に後ろから襲ったりはしないさ」
 長い黒髪を優雅に払い、魔女は声を殺して笑う。
「逃げたところで無駄だからねぇ」
 ククク――アーハッハッハ!
 魔女は堪えきれずに腹部を押さえ、声を出して笑い始めた。
「言ったろ・・・この爪には毒があるって。毒はご主人様にも影響を及ぼすよ?」
 楽しげに笑う魔女。対照的に、アーリィの顔色はどんどん悪くなっている。それに気づいたルーティは憤然(フンゼン)と立ち上がり、
「今すぐ解毒なさい!」
 それは、常のルーティからは想像もつかぬ迫力だった。だが――――、
「・・・・・・生意気だね、あたしに命令するのかい?」
 魔女の眼がすうっと細まり、瞳に剣呑(ケンノン)な光が宿る。
「ルーティさま!私は平気です!」
 再び、ルーティを庇う形で立ち上がるアーリィ。やはり、顔色はすぐれない。その様子を見て、魔女は機嫌を直したらしく、唇に笑みをはく。
「ふふん・・・・・・解毒ねぇ・・・」
 右手の長い爪を弄(モテアソ)びながら、魔女はしばし思案する。そして、いい手を思いついたのか、口元をにやりと歪めた。
「解毒してほしかったら、あたしの館に来るがいい。言っとくけど、この小屋じゃないよ。まぁ、場所はわかるだろう、あんたなら」
 魔女が指を差したのは、毒を受けた本人。
「せいぜい、ご主人様を大切にするんだねぇ」
 魔女はそれだけ言うと、どこからともなくマントを取り出し、それを大きく翻(ヒルガエ)すと、自分自身を包み込んだ。そして、マントが宙に解けるように消えると、魔女の姿も消え去っていた。
「いったい・・・どういうこと?」
 魔女の行動、言動が理解できないルーティは、先刻まで魔女が立っていた場所を睨んだままうめいた。
「魔女のすることなど、気にする必要はありません。それより、宿に戻りましょう」
「そうね、あなたの傷の手当てをしなくては」
 我に返ったルーティは、アーリィの傷ついた腕をそっと取り、応急の手当てを施す。そのとき、アーリィがびくりと体を振るわせた。
「ごめんなさい、痛かった?」
「い、いえ・・・・・・大丈夫です」
 少し青い顔をしたアーリィは、心配かけまいと微笑む。その様子が痛々しくて、ルーティは表情を曇らせた。
「ほんとに大丈夫ですから」
 そう言って笑うアーリィが、右手のこぶしを強く握り締めていることに、ルーティは気付かなかった――――。

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ナスティカおおばばさま、怖いよ~;;
かっぱ | URL | 2006/12/18/Mon 18:28 [EDIT]
>かっぱさん
魔女ですから!b
なすか | URL | 2006/12/22/Fri 14:55 [EDIT]

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