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虹を架ける者--------第6話

 アイセント東方の街マンセンの、裏町も裏町、まともな神経を持った者が一歩でも踏み込めば、言い知れない恐怖にとり憑かれそうな、妖しい雰囲気に包まれた区画に、よく当たると評判の占い師の庵(イオリ)があった。
 今、そこに訪れているのは、いずれも十六、七歳の少女二人である。
 ちょっとした振動でも崩れそうな粗末な小屋の中、陰気に笑う老婆を前にして、少女たち――――ルーティとアーリィはすぐさま立ち去りたいのを堪えていた。
「あ・・・あの!」
 意を決したように、ルーティが口を開く。老婆はそれには反応せず、黄色っぽい目で二人を嘗め回すように見つめている。
 ここで挫けてはならないと、ルーティが更なる決意を固めたとき、やっと老婆が口を開いた。
「ふぅむ・・・・・・なかなかいい素材だねぇ」
 老婆は、アーリィを見つめてそう呟いた。
「・・・・・・は?」
 意味がわからず、きょとんとするアーリィ。
「いやいやいや、こっちのことさね」
 老婆は黄色い歯を剥き出しにして、にんまりと笑った。薄暗い室内に一本きりの蝋燭(ロウソク)で照らされて、不気味なことこの上ない。
「それで?この占い師ナスティカになんの用だい?」
 枯れ枝のような指を組む老婆――――占い師。
「あ・・・あの・・・・・・」
 ルーティは何をどう言うべきか、逡巡(シュンジュン)としたが、思い切って尋ねてみる。
「泉を探しているのです・・・・・・七色に輝く不思議な泉を」
「泉・・・・・・?さてさて・・・・・・?」
 占い師は、おそらくは占い道具なのであろう、砂の入った玻璃(ハリ)の器を手に取り、右へ左へと揺り動かす。
「ほぉほぉ・・・・・・なるほどのぉ・・・・・・」
 玻璃の器を揺り動かしながら、占い師は一人頷く。
「何かわかりましたか?」
 ルーティが期待を込めて身を乗り出したとき、占い師の瞳が不気味に光った。
「あぁわかったよ」
 占い師は玻璃の器を懐(フトコロ)にしまうと、掛けていた椅子からゆっくりと立ち上がる。そして――――、
「その泉に・・・・・・お前たちを行かせてはならないことがねぇ!」
 唸るようにそう言うと占い師は、おもむろに右手を振り上げた。すると、振り上げられた手の爪が、腕の長さほどに伸びた。
 突然のことに、呆然とその爪を見つめるルーティ。そんな彼女めがけて、鋭く尖った鉤爪(カギヅメ)が襲う!
「ルーティさま!!」
 鉤爪がルーティを掠める一瞬前、アーリィがその身をもって守らんと、ルーティに覆いかぶさった。
 シャッ!!
 鋭い空気を裂くような音とともに、鮮血が飛び散る!
 二人の少女は絡み合ったまま転がり、さして広くもない小屋から転がり出た。
「ぅ・・・・・・」
 転げたときに軽く頭を打ったのか、ルーティはぼんやりする頭を抱える。何が起こったのか、未だに理解できていなかったのだ。
「大丈夫ですか!?ルーティさま!」
「・・・・・・アーリィ?」
 その瞬間、ルーティの脳裏で鮮やかな赤色が閃いた。
 赤い色・・・・・・血・・・・・・そうだ!突然の占い師の攻撃から、アーリィが庇ってくれたのだ!そのせいで、アーリィが怪我を!
「アーリィ!あなたこそ怪我は!?」
「平気です、掠っただけですから」
 よくよく見ると、アーリィの腕の部分の衣服が裂け、そこから血が滴っている。確かに、それほど深手ではなさそうだ。だが――――、
「ひぇっひぇっひぇっ・・・・・・平気なもんかね」
 のっそりと小屋から出てきた占い師が、血糊(チノリ)のついた鉤爪を舐めながら不気味な笑い声を上げる。
「この爪には毒がある・・・・・・放っておくと、受けた傷からどんどん腐ってくよぉ」
 ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ――――。
「いったい・・・・・・あなたはなんなのですか!」
 いきなり襲われ、アーリィに傷を負わされ、ルーティの怒りが爆発した。
「あたしかい?見ての通りの・・・・・・」
 そこで老婆は軽く腕を振る。その瞬間、真っ白だった髪が黒くなり、黄色く濁っていた目は紫に、どす黒い色をしていた唇は艶(アデ)やかな血の色に――――そして、曲がっていた腰がまっすぐになり、皺だらけだった肌が滑らかになる。
 豊満な胸を申し訳程度の布で包み、太ももの辺りから大胆に切れ込みの入った長衣を纏う、艶(ナマ)めかしい美女へと変化した。
「魔女さ」
 毒々しい深紅の唇がつり上がる。


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やはり懐からペンチを出すんですか?w
かっぱ | URL | 2006/12/01/Fri 18:48 [EDIT]
>かっぱさん
そう・・・・魔女だから魔法のペンチを・・・・
って!なんでやねぇぇん!w
どのキャラも、あくまで名前だけで、
ジツザイノジンブツトハムカンケイデス!w
なすか | URL | 2006/12/02/Sat 21:10 [EDIT]

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