FC2カウンター なすかの世界 虹を架ける者--------第5話
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虹を架ける者--------第5話

 アイセント最大の街マンセン。門をくぐると広場になっており、様々な露店が林立している。
 大鎌騎兵隊のシンディとリューナの二人と別れたルーティたちは、市場には目もくれず大通りに行き、中級の宿を見つけるとそこへ入っていった。
 そろそろ夕食時でもあり、酒場になっている1階は人で一杯だ。しかし、大半がこの街の住人らしく、部屋はたくさん空いていたようで、二人はなんなく部屋を取ることができた。
 今晩の寝床も確保したところで、ルーティがさっそく宿の主人に尋ねる。
「ひとつお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あ?」
 宿の主人は、上品な物言いに慣れていないらしく、口をぽかんと開けている。
「ルーティさま、ここは私にお任せください」
 アーリィが慌ててルーティを後ろにやり、改めて宿の主人に問いかける。
「おやじさん、このあたりに伝えられている昔話とかないかな?それに詳しい人を知ってたら紹介してほしいんだけど?」
「んん?昔話ぃ・・・?はてなぁ・・・?」
 最初の少女とは打って変わって、砕けた調子の二人目の少女に、宿の主人はやっといつもの調子を取り戻したが、どうやら心当たりがないらしい。
 ここでも収穫はないかと、少女二人がため息をついたとき、宿の主人がぽんっと手を打った。
「昔話に詳しいかどうかは知らねぇが、裏町によく当たるって評判の占い師がいるぞ」
「占い師?」
「あぁ、なんでも本当によく当たるらしくてな。特に、探し物が得意らしいぞ」
 ルーティとアーリィは顔を見合わせた。行ってみる価値はある。
「ありがとうございます、お、お、おやじサマ」
 今ひとつ庶民になりきれないルーティが、言いにくそうにしながら丁寧に頭を下げる。その様子にアーリィは、苦笑するしかない。
「ではルーティさま、今日は夕食をとって休んで、明日その占い師を訪ねてみましょう」
「そうね、今日はいろいろあって疲れたものね」
 そう言ってルーティは懐で眠っている小猿のキャッパーをそっと抱きしめた。ルーティの危機に、勇ましく立ち回ったためか、大蟷螂に乗っている間もずっと眠っていた。
「一番楽そうですけどねぇ・・・・・・」
 アーリィの呆れた物言いに、ルーティはくすくすと笑う。

 そうして翌日、朝食をとった二人は、宿の主人に詳しい場所を教えてもらい、さっそく占い師を訪ねていった。
 なお、その占い師は動物嫌いらしく、キャッパーは宿でお留守番ということになった。
 大通りからいくつもの辻を通り過ぎ、辺りはいよいよ陰気になり、およそ人など住んでいそうもない区画に行き着いた。
 高い建物に囲まれた、ちょっとした空き地に、粗末で今にも崩れそうな小屋がちんまりと建っていた。扉はなく、薄汚れた茶色い布が外と中を隔てているだけである。
 ごくり、と誰とも知れず喉が鳴る。
「とても評判だとは思えませんね・・・・・・」
 自分たち以外、訪れている者のない小屋の前で、二人は立ちすくんでいた。
「で、でも・・・藁にもすがらねば・・・」
 ルーティがそう呟いたとき、小屋の中からしわがれた声が聞こえてきた。
「あたしゃ藁かい」
 ルーティはびくっと肩を震わせ、アーリィは慌てて首を振る。
「いえ!そんなことは!」
 占い師など、気難しいに決まっている、という偏見を持っているアーリィは、ここで機嫌を損ねては大事だと、懸命に言い繕う。
「評判の占い師だと伺って来ました!ぜひ、占っていただきたいことが・・・」
 アーリィが言い終わらないうちに、戸口の布がひとりでに開いていった。そして――――、
「お入り」
 再び、妙に高い空気交じりの声が二人を誘う。
 ルーティとアーリィは同時に唾を飲み込み、意を決して戸口をくぐった。
 薄暗い室内を照らすのは、髑髏(ドクロ)の形をした燭台(ショクダイ)に乗せられた蝋燭(ロウソク)一本のみ――――妖しさ倍増である。そして、その蝋燭の光を受けて、一人の老婆の姿がぼんやりと浮かび上がっていた。
 寸でのところで、悲鳴を押し殺す二人の少女。
「ようこそ、占い師ナスティカの庵(イオリ)へ」
 どす黒い顔をした老婆がにんまりと笑う。

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こ、この占い師が、メインキャストか~www
かっぱ | URL | 2006/11/27/Mon 01:10 [EDIT]
>かっぱさん
メインもメイン、この方が影の主役だ!w
なすか | URL | 2006/11/27/Mon 23:49 [EDIT]

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