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虹を架ける者-------第2話

 昆虫王国との異名を持つアイセント王国。その名の由来は、多くの大型昆虫が棲息し、かつ、王立軍はそれらの昆虫を騎乗できるように飼い馴らしているためである。
 中でも、甲虫騎兵隊は勇猛果敢なことで、世界各国に知れ渡っている。
 そんなアイセント王国の王都へと続く街道を行きかう人々の中に、小柄な二人と一匹の旅人がいた。
 二人とも男装してはいるが、よくよく注意してみると、どちらもまだ若い、少女であることがわかる。
 一匹は、少女の肩に乗れるほど小さな猿だ。陽の光を浴びて薄く輝く金色の毛並みをしている。
「ルーティさま、そろそろ休憩なさいますか?」
 少し前を歩いていた、もう一人の少女より弱冠、背の高い少女が後ろを振り向きながら言った。
「わたしは大丈夫・・・・・・だけど」
 ルーティと呼ばれた少女は、自身の肩に乗っている小さな生き物を顧みた。小猿は微かに声を上げた。
「キャッパーが疲れているみたい、あの木陰で休みましょう」
「は?肩に乗ってるだけで?」
 前を歩く少女は呆れたような声を出す。それに抗議したのは小猿のキャッパー。
「ゥーキャッ!」
「そんないじわる言わないのよ、アーリィ」
 キャッパーの代弁をするように、ルーティが笑いながら諭す。
「わかりました、ではあの木陰で」
 アーリィはルーティの手をとると、街道から少し外れたところにある、小高い丘の上に生えている二本の樹の下へ誘った。
 そこでアーリィが手早く敷物を敷いたとたん、ルーティの肩からキャッパーが飛び降りた。
「元気じゃない」
 またまた呆れ声を出すアーリィ。
「キャキャキャッキャッ!」
 敷物の上で跳ねながら、再びキャッパーの抗議が始まる。そんな木陰に入った小猿の毛が、今度は薄い緑色へと変化し始めた。
「・・・・・・変な猿」
 ルーティのためのお茶やお茶菓子を用意しながら、アーリィは首をかしげた。この猿は、光の加減で毛並みの色を変化させる。
「アーリィったら・・・・・・これでも我が国の聖獣なのよ」
 苦笑いしているルーティ。だが、そんな彼女も「これでも」といった発言をしていることに気づいていない。
「こんなのが聖獣・・・・・・ねぇ」
 とても信じられない、と肩をすくめるアーリィに、キャッパーがまた食って掛かろうとしたとき、大きく開いた口の中に、おもむろに菓子が放り込まれた。
「あんたの休憩の目的はこれでしょ?」
 そう言って、ルーティとは別に用意していた菓子を口に押し込むアーリィ。キャッパーは目を白黒させながらも、手はしっかりと菓子を掴んで放さない。
「ふふふ、ゆっくりお食べなさい、キャッパー」
 小猿の隣に静かに腰掛けたルーティは、アーリィから差し出されたカップを受け取る。中にはふんわりと匂い立つ薄い色の紅茶が注がれていた。
「・・・・・・もっと良い茶葉を用意できればいいのですが」
 また安い茶葉を用いたことを気にしている様子のアーリィに、ルーティは苦く笑う。
「もうそんなことは気にしないで。わたしはこうしてお茶をいただけるだけで嬉しいもの」
「ルーティさま・・・・・・」
 そんな風に、二人と一匹が和やかにお茶を楽しんでいるところ、背後から四、五人の男たちが歩み寄ってきていた。そのことを敏感に察知したアーリィが、ルーティを背後に庇う形で素早く身を起こした。
「何者!?」
 男たちは、気づかれたことに一瞬ひるんだものの、再びにやついた笑みを顔に貼り付けて、にじり寄ってきた。
「やぁお嬢ちゃんたち、ちょっと頼みがあるんだが・・・・・・」
「頼み?」
 ルーティは軽く首を傾げる。
「そう・・・・・・お嬢ちゃんたちの持ってる、金目のものを全部いただこうか!」
 そう言った瞬間、男たちは手にナイフを持って、二人に襲い掛かっていった!
「きゃあああぁぁぁ!!」
 ルーティの悲鳴が、空を震わせる!

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