FC2カウンター なすかの世界 2007年12月
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虹を架ける者--------第14話


 魔女はおもむろに、ルーティめがけて鉤爪を振り下ろした!すかさずシンディが少女を横抱きにして飛びのく!間髪をいれずに、リューナのレイピアが魔女に迫る!魔女は身を翻し、再び三人との距離を開けた!
 わずか数秒の出来事だった。
「邪魔をしてくれる・・・・・・あんたたち二人はあとでゆっくり捕らえてやるから大人しくしてておくれよ」
 魔女は、シンディとリューナに薄く微笑んだが、紫の瞳は笑っていなかった。
「そんな言い分、従うわけないだろう」
 ルーティを背後に庇いながら抜刀するシンディ。血統は確かにアイセントの王女だが、大鎌騎兵隊隊長の肩書きは伊達ではない。
「まぁ・・・そうだろうねぇ」
 ククク、と妖しく笑う魔女。
「仕方がないね」
 そう言うや否や、魔女は右手の指を鳴らした。その途端、ルーティたちの背後に、複数の気配が現れた!
「なんだ!?」
 振り返った三人が見たものは、どこか虚ろな目をした五人の男たち。手には各々、小剣を持ち、先頭に立つまだ若い男は、両手に剣を携えていた。
「ま・・・まさか・・・!」
 シンディは先頭の男を見て、驚きの声を上げた。
「キルー・・・キルーじゃないかっ!」
 信じられないものを見る目で、シンディは男を凝視した。対して男は、感情のない目でシンディを見つめ返す。
「おやおや、知り合いだったのかい?一国の王女が、夜盗集団の頭と面識があるとはねぇ」
 これはおもしろい、と魔女は愉快げに笑う。
「夜盗集団・・・?では彼らは『封龍』!?」
 今度はリューナが驚きの声を上げた。こんな得体の知れない魔女の館で、まさか探していた『封龍』の、しかもその頭目に出くわすとは!
「キルー・・・あんた何やってんだい!あんたの手下どもがこの国で暴れ回ってるじゃないか!」
 教育がなってないよ!――――シンディは語気荒く『封龍』の頭目、キルーという名の若者を責めたてた。しかし、キルーからは何の返答もない。
「何とか言ったらどうだい!」
 シンディがキルーに一歩詰め寄った時、彼はおもむろに手を振り上げた。それが合図となり、背後に控えていた男たちが剣を構えて一斉に襲い掛かってきた。
「隊長!」
 シンディの前に躍り出るリューナ。
「リューナ!?」
「雑魚は私に任せてください!」
 次々と繰り出される男たちの剣を、細い剣で見事にさばくリューナ。
「・・・わかった、任せる」
 いつになく真剣な声を出したシンディは、ゆっくりとした足取りで、キルーに近づいていった。
「キルー・・・あんた約束を忘れたのかい?」

 今から二十三年前――――シンディは、アイセント王国の都、ベイトルの下町にある粗末な家で生まれた。
 父は当時の国王だったが、母は身分も何もないただの下町の娘だった。国王がお忍びで街に出たときに出会い、授かった命であったが、国王はシンディの誕生を長い間知らなかった。
 そのため、シンディは十五歳になるまで何も知らずに下町で育った。
 彼女を見出したのは、当時、王太子であった現王フェイロン。シンディにとっては母親違いの兄だ。
 王太子であったフェイロンは、病に倒れた父王のために、下町でただ一度きりしか会った事のない女性を探した。そうして、その女性が、シンディを産んだことを知ったのだ。
 王女として城に上がることになったシンディは、同じ下町で育った三つ年下の幼馴染の少年とひとつの約束を交わした。
「オレの親父は『封龍』なんていう盗賊集団の頭だけど、お前や、お前の兄ちゃんの助けになるような存在になってみせるからな!」
 それから八年の歳月を経て、ただの夜盗集団だった『封龍』は、義賊としてその名を上げることになった。
 その時の少年が、今、シンディの目の前にいるキルーだ。
「キルー・・・いったい、どうしちまったんだい?」
 切々と訴えかけるシンディに対し、キルーは両手の剣を構えることで応えた。


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